阪急電車

有川浩の新刊。タイトルを見た時、サブマシンガン片手に路線の覇権を巡った争いが繰り広げられると思ったのは自分だけじゃ無い筈です。
そんな話な訳が無いとは分かってはいるものの、登場人物が武装してない! 撃ち合いが無い! と、アホな所で感動してしまいました。『レインツリーの国』もそうだったのに。
...それはさておき。大阪の今津線を舞台に各駅ごと1話の構成で、終点まで行って折り返し。都合各駅2話構成で、電車の中を発端とした色々な人たちの生き様を書いた連作短編です。

どの話が面白かったと上手く言えないのがもどかしいんですが、主役が順番に変わっていきつつ、綺麗に話が繋がっていくところが素晴らしかったです。甘い恋愛話あり、辛い別れ話あり、女の戦いあり...と、一見関係なさそうな話が繋がるのが読んでいて楽しかったです。折り返した後のまとめ具合も、普通に前半の話の続きなんですが、どう収束させるのかワクワクしっぱなし。みんな幸せになりそうな終わり方に大満足でした。
最近は電車に乗っている時は読書しているか寝ているかの2択になっていて、窓の外を眺めたり人間観察したり...と言う機会がめっきり減ってるなー。長いこと電車に乗り続けているので、車内で起こった出来事には結構遭遇してるんですが、あんまりワクワクするようなものに巡り合った事が無いのは何故...?


しかし、作中にほんの少しだけ自衛隊の名前が出てきたところで、なんか物凄くホッとしてしまいました。「あー有川浩だ」と。みんな思ったよね? ね? ね?
...スンマセン。