カナスピカ

秋田禎信の初単行本。
空から落ちてきた人工衛星カナスピカ』と、カナスピカに出会った中学生の加奈。空に戻りたいと言うカナスピカの願いを、なんとか叶えてあげようとするお話です。
良いお話でした。
カナスピカは宇宙人の作った人工衛星で、変形して喋って加奈と意思疎通を図る訳ですが、価値観の違いからか、最初は微妙にすれ違い気味。しかしそれでも加奈は惹かれていって...と言う初恋のお話でもあったりします。
特に大盛り上がりするような話でもなく、淡々と進む感じはあるんですが、終盤が綺麗で気に入りました。空へと戻るため、カナスピカの思い出の場所を探すけど、見つからない。なんで? と言う展開が良かったかなと。過去の出来事だと言うだけでは思い出にならず、心に残る何かがあってこそ初めて思い出になるだなと言う事を、再確認させてくれました。これだけでもう満足。
また、一般文芸と言えど、文体はいつもの秋田禎信な雰囲気がヒシヒシとあって、妙に安心したり。今後の活動にも期待してます。