太陽戦士サンササン

新人さん。第18回ファンタジア長編小説大賞・準入選作です。
主人公は、『咎人回し』と呼ばれる特殊な警察官。過去に捕らえた凶悪な犯罪者を手下に、事件を解決する日々だったが、ある日、異世界の騎士を名乗る、喋るヘルメットに出会って...。
こんな感じ。逃げた魔王を追って異世界から来た、騎士の精神が宿るヘルメットを片手に、街の平和を守る主人公のお話です。
結構面白かったです。
ヘルメットを被れば、正義のヒーローに。しかし、魔力を武器にするためには、技の名前とかを叫ぶ必要がある、と微妙にコメディっぽい設定。まぁタイトルからして、そんな印象をヒシヒシと受ける訳ですが...しかし、話自体は結構シリアス。街の影に潜む陰謀に、魔王が加わって大事になっていく...と言う内容です。
最初はホント、コメディかと思ってたんですが、途中から熱いシーンが随所に出てきて、最後には「サンササン、かっこえー」とまで思えるようになってしまいました。
特に、咎人である自分の姉とコンビを組み、互いが互いを守りたいがためにすれ違っていく展開が良い感じ。こういう展開があってこそ、熱いシーンが映えると言うものです。また、敵役である魔王ですが、ただの悪役と言うだけではなくて、魔王には魔王なりの理由があると言うのも、好印象でした。
しかし、その魔王の理由にもう少し説得力が欲しかったかも。互いの正義がぶつかり合うような話ではなかったのが、ちょっと残念。楽しめたけど。
と言う訳で、普通に満足な1冊でした。今後の活躍にも期待。次の作品は、どんなタイトルになるのか。まずソコが気になります。