NO CALL NO LIFE

『キーリ』の作者、壁井ユカコのハードカバーな1冊。ちょっと前の新刊です。
主人公は従兄と2人暮らしの女子高生。その従兄に思いを寄せているが、従兄の方は、全然気付いていない。一方、ある日から主人公の携帯電話に、何故か日付が何年も昔と言う、不思議な留守電メッセージが入るようになって...と言う感じ。
どこかノンビリとした主人公が、従兄の友人で自分と同じ様な性格の年上の同級生と、刹那的に落ちた恋のお話です。序盤は、過去からの不思議な留守電を追う形で進むので、てっきりこれが話の中心なのかと思いきや、途中からは恋愛がメインに。
2人とも辛い過去を持っているからか、お互いに傷を舐め合うような恋愛で、当人達は幸せなんだろうけど...傍から見ると、とても危うい。先の事は深く考えず、目の前の幸せを追い求める姿は素直で正直。たけど、幸せな未来が想像出来なくて、読んでて少々辛かった。
途中から過去に繋がる電話の話が全然出てこなくなって、「一体何だったんだ?」なんて思っていましたが、最後の最後でやってくれました。このための伏線だったのか。不思議な電話はあくまで小道具、と言う使い方が良かったと思います。お陰で、ラストの切なさは倍増で、身を切られるような感覚がヒシヒシと。面白かったです。
と言う訳で、普通に満足な1冊でした。今後とも、壁井ユカコ作品はチェックしていく方向で。