黄昏の刻 5

吉村夜の新刊。シリーズ最終巻。
前巻の凄い展開を受けて、この最終巻はもっと凄い展開。序盤からバタバタと人が死んでいく、辛い展開のオンパレード。稀人達は悲惨極まる戦いに赴く訳ですが...これが熱い熱い。
死を目の前にした時の覚悟や、その状況でも諦めずに前へ進もうとする姿勢、そしてそんな稀人を支援する自衛隊...この熱さときたら。情け容赦なく、主要登場人物が1人また1人と息絶えていくけれど、その死に様...と言うか生き様が格好良い。成すべき事をなして、満足のうちに散る。いやー素晴らしかったです。
しかし終盤、神様のお話からのエピローグは...個人的にはかなり残念に思った所。その直前、皆が文字通り命を散らして戦った死闘の果て、辿り着いたラストとしては、ちょっと物足りない。綺麗にまとまっているけど、とても無難な結末に思えてしまいました。
何と言うか、誰も戦いの事を覚えていない事が、寂しいなぁと。確かにハッピーエンドは好きなんだけど...最悪の状況から勝ち抜いて掴んだハッピーエンド、と言う感じでは無いからなー。勝利の結果、辛い事を覚えている必要が無い幸せな世界を手に入れた、と考えれば良いのかな? けど、ある意味夢オチみたいな印象も無きにしも非ずだし...むぅ。書いてて良く分からなくなってきた。
何はともあれ、これにて完結。前作『ハーモナイザー・エリオン』に続いて、割と楽しめた作品でした。次回作も待ってます。