極北からの声

フルメタ』の新刊。短編集サイドアームズの2巻です。
カリーニンと宗介の出会い、マデューカスとテッサの出会いの2つがメイン。これが、どちらもすっげー渋い。おっさんの一人称と言うだけで渋いんですが...それに話の重さも加わって、かなり良い感じ。
不幸の連続と言うしかない宗介の過去を読むと、カリーニンが彼の父親代わりと思っているのも、この流れでは当然ですね。一度は助けたはずなのに、再会があんな状況では...。辛い。
マデューカスの話も良いです。テッサの父親と共に戦った時の話に痺れました。相手の行動に込められた意思を読み取って、最善の選択肢を選ぶ。格好良い。テッサは、昔の方がキツい性格のようで。ただ単に子供だったと言う話もあるけど。宗介と同じく、あんまり幸せな過去では無いですね。さらにウィスパードとしての知識がもたらした悲劇。この辺が、テッサの原動力になっているのかと、ちょっと思いました。
もう1つ、猫(?)の話は、他の2つとのギャップが凄い。一つだけ、いつもの短編のノリだから、違和感バリバリ。いつもの短編に収録されていれば、何とも思わずに読めるような内容ですが...。さすがに、あの生物を猫と呼ぶのは無理があるだろ!
と言う訳で、いつも通りとても楽しめた1冊でした。次はクルツの過去とか読んでみたい。期待して待ち。