少女七竈と七人の可愛そうな大人

桜庭一樹の作品は結構読んでますが、この作品はこれまでで一番良かったと思います。明るい話ではありませんが、かといって暗い話でもなく。静かに淡々と進む文章から漂う雰囲気が、なんとも言えず心地良かったです。
主人公は高校生の七竈と、その幼馴染の雪風。お互い一般人離れした美貌のため、さらに複雑な家庭事情のために苦悩しつつも、その悩みを振り払い、お互い進む道を見つける展開が良い感じ。さらに、キッチリと精神的な成長を描いているのが素晴らしく面白かった。特に気に入ったのは第5話とラストの終わり方でしょうか。5話のラストには思わず唸ってしまった...。
加えて、七竈の言葉使いとか、犬視点の一人称とか。こういった部分が一つずつ合わさって、この綺麗な雰囲気を作ってるんだろうなぁ。これは良いものを読みました。
桜庭一樹の作品は肌に合わないものもチラホラあるんで、この本もあんまり期待していなかったのですが、やはり本は読むまで分かりませんね。大満足。