ゴールドベルグ変奏曲

五代ゆうのデビュー前に書いた作品が、HJ文庫から発売。
歌う事で幻を呼び起こす<幻奏>と言う芸術を軸として、至高の<幻奏>者を襲った悲劇を幕開けに、同じ<幻奏>者であるヒロインと、事件を担当する事になった監察官のお話です。
出版にあたって、殆ど改稿していないそうですが...全然問題なく読めました。ヒロインと主人公が惹かれ合う理由がイマイチ希薄なんですが、それ以外はなんの違和感も無く。感情を殺して仕事に没頭していた主人公が、人間らしさを取り戻していく流れが良い感じ。さらに、事件の真相を追いながら進む話は、続きが気になる展開のオンパレード。この辺はちょっとだけミステリーっぽかったかも。終わり方も綺麗だったし、普通に楽しめました。
しかし、この作者のファンタジーは不思議な雰囲気がありますね。どう言葉で表現するのが適切なのか、上手い言い回しを思いつけないのがもどかしいんですが...まぁ自分が心地良く楽しめると言う事だけ分かれば良いか。今後も要チェック。