ブレイブ・ストーリー

宮部みゆき作品に初挑戦。『ブレイブ・ストーリー』の上中下巻、ようやく読了。異世界への扉を開けた主人公が、自分の願いを叶えてくれる女神に会うために、途中で知り合った仲間とともに冒険をするお話です。
主人公のワタルは小学5年生の男の子で、年相応の立ち居振舞いをする「子供らしい子供」と言う部分が非常に好印象でした。「子供らしい子供」がメインに出てくる作品と言うのは、久しく読んでいなかったので、最初はとても嬉しかったのですが...しかし、話が進むに連れて、ドンドン言動が年相応では無くなって大人びてしまうのが、とても残念でした。
また、全体的に、成り行きに任せて話が進んでいるような感じがしたのは、ちょっと微妙だったかも。特に「嘆きの沼」のエピソードで、すぐに事情を説明しに街へ戻ると思っていたら、そのままノータッチだったのには激しく違和感が...。最後の最後でフォローらしきものがあるけど、それでも納得は行かない。キッチリとけじめをつけた上で旅を続けて欲しかったです。
読む前は小中学生ぐらいに向けて書いた作品かと思ってましたが、決して子供向けのお話じゃないですね。序盤のドロドロした人間関係は痛かったし。しかし中盤以降、ファンタジーの世界に入ってからは、話の筋が分かりやすくて普通のファンタジーだなぁと感じました。ラストも無難な所にまとめた感じ。言いたい事はとても良く伝わってくるのですが、それ故にワタルが序盤に持っていた「子供らしさ」を失ってしまっているのが勿体無い。あの年相応の振る舞いのまま、この結論を導きだす姿が描かれていれば、もっと素晴らしかったと思います。
映画の公開は7月8日からだそうで。時間を見繕って見に行きますか。