陰陽師は式神を使わない

スーパーダッシュ文庫の新刊。各所で話題になってたので買ってみました。
主人公が易占と言う占い手法の講座を同級生にするお話です。ホントにこれだけ。ストーリー性は一切無く、ひたすら講義が続く内容。
壮絶に微妙な一冊でした。この人の本はおそらく二度と買わないことでしょう。主人公が「実は〜なんだよねぇ」みたいな真面目だけど軽いノリで東洋哲学への賛美を繰り返しているような展開で、読んでて無性にムカつきました。せめてムスカみたいなキャラが、
「こんな事も知らんのかね」
なんて言いながら教えてくれるなら楽しく読めたと思うんだけども。
序盤はそれなりに読めるんですが、中盤ぐらいで、フィリップ・K・ディックを例に取り上げたあたりから微妙に嫌なキャラっぷりが気になりだし。続きを読めば印象変わるかもと思いきや、そこから先は加速する一方でした。
東洋万歳、西洋帰れみたいな話の方向性とか、持っている知識の披露の仕方とか、とにかくムカつく事この上ない。最後の方は殆ど読み流してました。いやー、ここまで肌に合わない主人公と言うのは滅多にいない。ディックのファンがこれ読んだら、すげー腹立つだろうなぁ。
そんな主人公は置いといて、占いの話。易占と言う占いは、未来を予言するものではなくて、自分が取るべき行動の指針を示すもの。サイコロ振って「卦」と呼ばれる記号を選んで、それぞれの記号が持つ意味から、自分が何をすべきなのかと言う行動指針を導き出す。ここまでの話はそれなりに理解できたんですが、理解できない部分がチラホラと。
一番分からなかったのは、なんでサイコロ等の乱数が必要なのかと言う部分。ランダムで選ぶと言う事は、つまりどれ選んでも同じと言う事。どの記号が選ばれた所で、その記号の意味から自分がどうするべきかを自分で考えるんだから、わざわざサイコロなんか振らなくても、占う度に端から順番に使う記号を変えていっても同じ事じゃないかと思ったり。
他にも読んでて、あちこちで首を傾げていたんですが...自分の理解力が足りなかっただけでしょうかね。でもこの本読んで、もっと詳しく知りたいと欠片も思えなかった。易占自体に問題があるんじゃなくて、明らかに書き方の問題だよなー。あー微妙だった。