電波的な彼女』の作者の新刊。
主人公は揉め事処理屋の高校生・紅真九郎。ある日彼の元に、一つの依頼が舞い込んでくる。それは一人の少女を護って欲しいと言う内容。詳しい事情も聞かされないまま、引き受ける事にしたが、その少女、実は...。
こんな感じのお話。『電波的な彼女』と同じ世界観の中で書かれているので、見知った名前がちらほら出てきますが、基本的にはこれ一冊で完全に独立した内容。大財閥の娘・九鳳院紫を巡るトラブルに巻き込まれる形で話が進みます。
陰湿なシーンや裏に潜む真実が、ホント読んでて鬱になるのぐらい容赦ない作りになっている辺りは『電波的な彼女』と同じですね。しかしそんな暗さを持ちつつも、話の本筋は一直線。訳ありの女の子を護るという、非常に分かりやすい展開で素晴らしく面白い。とにかく主人公の台詞回しが熱いです。特に終盤、真相を知って覚悟を決めてからの真九郎の熱さと来たら。大ボス相手に啖呵切る下りが最高でした。
また主人公を取り巻くラブコメ模様も面白い。その中心で話を引っ掻き回しているのが7歳の女の子と言うのはどうなのよ? と言う気もしないでもないけど...。
そう言えば、ヒロインの「紫」と言う名前は、紅と蒼で紫なのかなぁと思ったり。「紫」の名前を持つ子供と言えば、古典に約一名、超有名人がいますが...そっちじゃないよなぁ。
と言う訳で大満足な1冊でした。続きはあるのだろうか?