イリスの虹

『白人萌乃』シリーズの作者、七月隆文の新刊。
人間の"情報"を喰う怪物に襲われそうになった主人公は、一人の少女に助けられる。次の日、学校に行ってみると、その少女が転校生としてやってきて...。
こんな感じ。"情報"を喰われた人間は、他者と関わりを持つ事が出来なくなり、絶対の孤独の中へ放り込まれると言う設定。友人を喰われた主人公が、怪物が情報を消化しきるまでの3日間と言う制限の中で、ヒロインに協力して怪物を倒そうと動く事で、話が進みます。
シリアスな作品かと思いきや、所々に微妙コメディっぽく浮いたキャラ同士のやり取りが混ざったり。さらに後半には、突如としてラブコメが始まったりと、どっちつかずな印象。基本はシリアスなんでそのつもりで読んでると、時々「あれ?」と思う事が。同作者の『Astral』を読んだ事がある人は分かるかと。あの作品で、主人公の妹が突如としてヤキモチ焼き始めるのと同じ感じ。まぁ狙い澄ました所でやっているので、その話自体は面白いから良いのですが。
孤独を嫌うが故にどんな嫌な事があっても、あらゆる感情を上書きする事で明るく振舞っているヒロインは、読んでいて切なかったです。他の登場人物も、敵である怪物も、みんな誰もが孤独を嫌っていて、やり方は人それぞれ違うけどそれから逃れようとする。分かりやすい話で読みやすかったのですが、あんまり盛り上がらなかったかなぁ。綺麗にまとまってはいるけど、もう少しラストは凝って欲しかった。
と言う訳で、少しイマイチな作品でした。シリーズ化するんだろうか?