神栖麗奈は此処にいる

『僕らはどこにも開かない』でデビューした御影瑛路の第2作目。今回もイラストなし。
自殺した人たちが、死ぬ直前に残した「神栖麗奈」と言う名前。連作短編集のように章ごとに異なる人物の視点から、彼女存在を軸とした話が展開されます。
結構面白かったです。読んでいて、「神栖麗奈」とは一体何者なんだ? とグイグイ引き込まれていく感じ。予想以上にサクサク読めたのも意外でした。テンポが良いという訳でも無いのになぁ。読みやすい文章であるのは確かですが。
つまるところ、追い詰められた人たちが求める妄想が形になったものが「神栖麗奈」と言う事でしょうか。名前を核とした集団妄想、但し見ているものは人それぞれ違う、みたいな。
結末は微妙に腑に落ちなかったのですが...ラストに行き着くまでの過程で楽しめたので、それなりに満足。来月、同じく「神栖麗奈」の名前を冠した新刊が出るそうで。話に直接的な繋がりは無いらしいですが、こちらも楽しみです。