春待ちの姫君たち

『リリカル・ミステリー』第2弾。と言っても、前巻との繋がりは皆無。完全に独立した1冊で、赤音と春来と言う二人の女の子の友情を軸に、女子校の中学2年から高校2年までを描いた作品です。
以下、ちょっとネタバレ気味なので、読む気がある人は注意。
美しい友情。嫉妬と裏切り。愛と憎しみは紙一重。こんな感じのキーワードで、大まかな内容は説明できると思いながら読んでました。途中までは。
デビュー作『白い花の舞い散る時間』の印象が強く残っていたので、今回も暗くて怖い話だと思い込んでいたのですが...やーらーれーたー。
終盤に明かされる真相には、完全に騙されました。酷いキャラなんてどこにもいない。悪役は文字通り「役」でしかなく、舞台の幕が閉じれば、役者本人の素顔に戻る。いやーすげーよ、これ。
中盤までの暗さが一気に晴れた、とても読後感の良い結末がとにかく素晴らしい。前巻は中盤まで面白くて、終盤が暗くてドロドロしてたんですが、今回は180°逆。前の巻でも騙されてたのに、気付けなかったとは...不覚だ。
と言う訳で、大満足な1冊でした。1冊目よりも、この2冊目の方がお気に入り。次回作にも大期待です。