銀盤カレイドスコープ vol.6

銀盤カレイドスコープ』最新刊。至藤響子と、ドミニクの2人が、それぞれの過去を一人称で振り返り、最後は世界選手権の話で締めくくる構成のお話。
すんげー面白かったです。ドミニクのタズサに対する嫉妬と、演技で決定的な差を見せ付けられた悔しさ、それをバネにして先へ進もうとする姿。至藤の静かな語り口とは裏腹の、内に秘めた激情とオリンピック出場を渇望する姿、そしてそれに伴う痛いほどの緊張感。
あーこれだよこれ!! これが読みたかった。
スケートシーンに迫力があるのは素晴らしい。特に今回は6人分のショートとフリーのプログラムが細かく書き込まれていたりと、スケートシーンへの力の入れようは凄いんですが、それ以上に、各選手の心境の方がずっと大事で面白いと思ってます。演技前の不安と自信が混ざった緊張感や、勝負に挑む気合とか、演技中や演技後の高揚感とか。1,2巻ではスケートシーンの見事さよりも、その点に惚れこんだので、今回は凄く満足の行く内容でした。
また、タズサの強さをハッキリと描かれてます。これまで描かれている様で、実はちゃんと描かれていなかった。タズサ視点じゃ分からないし、ヨーコやキャンディー視点じゃ実力が違いすぎてこれまた良く分からないし。しかし、今回は至藤とドミニクの目から見たタズサが描かれた事で、良く分かった。実力の差こそあれ、扱いはリアと同じかそれ以上。こんなに強くなったんだと、思わず唸ってしまった。最後のフリー演技、タズサ視点でも読んでみたかったなー。
次はオリンピック、最終巻だそうです。この巻でサブキャラ達の話を描いた事で、役者は揃った感じ。最後はタズサ視点になるんでしょうか。リア視点での話も読んでみたい気がしますが...やっぱり主役に締めて欲しい気もする。なんにせよ、すげー楽しみです。