月夜の海に囁く呪文

シュプルのおはなし』の作者による新作。イラスト無しの連作短編集。
夢久島と言う島にある天尽岩。この岩に向かって、ある"呪文"を唱えると、本当の自分の居場所へ連れて行ってくれると言う噂話と、その"呪文"をキーとして4つの短編が収録されています。
面白かったです。各話とも、自分の居場所に対して不安を抱いている人を主人公として、最後にはその悩みを振り切って"呪文"を唱えると言う流れ。第1話を読んだ時は、読んでる方が恥ずかしくなるような終わり方をだったので少々微妙かなぁ? と思ったのですが、残りの話がかなりツボ。2,3,4話とかなり満足の行く内容でした。しかし、この"呪文"を言うのは微妙に恥ずかしいよなー。
特に気に入ったのは2話の『ネバーランド』と4話の『ゆうやけこやけ』。切なく哀しい話と、シンミリとさせてくれる話なんですが、これが良いです。『シュプルのおはなし』もそうだったけど、"ちょっと良い話"を書くのが上手い作家さんですね。文章も読みやすいし、今後も楽しみです。
しかし『シュプル』については、特にあとがきで触れられてなかったけど...どうなるんだろう?