琥珀の心臓

第17回ファンタジア長編小説大賞・審査委員賞受賞作。
修学旅行へと向かうバスに乗っていた24人の高校生は、突然異世界へと召喚される。深い森の中に放り出された彼らは、クラス委員の優子と森での生活に長けた遥の二人に導かれて、慣れない生活を始める。ある日、彼らは森の原住民・クエルト族に出会い...。
こんな感じ。遥と優子、この二人の女の子の友情がメインに描かれています。読んでいてふと、カラミティナイトを思い出しました。ヒロインの片方の名前が優子なんで、尚更そんな感じがしたのかも。もう一人、遥の幼馴染の男の子もメインキャラとして登場しますが、あんまり目立ってませんな。続編が出るなら中心的なキャラになりそうですが...。
クエルト族の保護を受ける代償として、遥は巨大ロボットに乗って襲いくる竜と戦う事になるのですが、遥は戦えば戦うほど衰弱していきます。優子はこの事実を知りながらも、しかしクラスメイト、ひいては自分の命のために自らロボットに乗る事を決めた遥の心中を思い、戦う事を止められない。親友同士の二人が、お互いの事を思いやっているのにも関わらず、待っているのは別れという展開が、とにかく切なくも熱い。面白かったです。
ただ終盤、話がかなり観念的な方向に向かったのが、個人的には残念でした。頭良くないから、理解するのに一苦労です。また序盤、なかなか情況が掴めないのが、ちょっと辛かったかと。
と言う訳で、割と面白かった一冊でした。続編が書けそうな終わり方になってますが...出るのかなぁ。
これにて、今年のファンタジア長編小説大賞受賞作を一通り読了。好きな順に並べれば、ルビーウルフ>武器屋>琥珀の心臓 です。予想よりどれも面白かったので、普通に満足。今後が期待できますな。