老ヴォールの惑星

小川一水の短編集。4篇が収録されている1冊。
4つとも、とても面白かったです。どれも『第六大陸』や『復活の地』等とは少し趣が異なる作品ですが、それらにも引けを取らない素晴らしい一冊かと。特に、地下迷宮に閉じ込められた囚人達の話である『ギャルナフカの迷宮』と、海しかない惑星で遭難した男の話である『漂った男』の2篇が気に入り。次にどんな展開が待っていて、どんな結末を迎えるのか、読んでいてとにかく続きが気になって仕方ありませんでした。『漂った男』なんかは、ラスト一文までドキドキしながら読めたし。素晴らしいの一言です。
そういえば表紙のイラストは一体何なんだろうと思っていたのですが、表題作である『老ヴォールの惑星』に出てくる生物ですね。読んでいる時は気付かなくて、姿形がちょっと想像し辛いなぁと思っていたけど、全部読み終えた後、本を閉じて納得。想像力があんまり豊かじゃない自分としては、こういうイラストは助かります。
しかし短編集で続きが気になって仕方ないと感じたのは、かなりレアな体験のような気がします。『第六大陸』や『復活の地』で味わった感覚を、まさか短編集でも味わえるとは。ホント面白かった。今後の作品にも大期待です。