猫泥棒と木曜日のキッチン

橋本紡の新刊。ハードカバーな一冊です。
ある日、突然母親が行方不明になってしまった家庭を舞台に、一人の女の子とその同級生の男の子の交流を猫を絡めて書きつつ、しかしやっぱり家族の話。
橋本紡の描く、こういう日常にちょっとした出来事が起こるような話は良いですね。安心して読めます。特に大きな波乱とかは起こらないし、凄い力を持った人とかも出てこないけど、それが良い。
母親がいなくなり、子供たちだけが残されると言うのは酷く哀しい事だし、猫が出てくると言っても、可愛い猫と戯れて楽しむと言うような展開は皆無。むしろ正反対で、死にかけの捨て猫を何とかして助けようとする。何処をとっても哀しい話ばかりで、読後感が良くなる要素は無いはずなのに、最後の一章で全て綺麗にまとまって、後味の良い結末になっているのが凄いと思いました。
『金曜日』『木曜日』と来たから、次は『水曜日』かな? 出るかどうか分からないけど...出ると良いなー。