スラムオンライン

ハヤカワから発売の桜坂洋の新刊。
MMO格闘ゲームにはまる大学生の主人公は、"辻斬りジャック"と呼ばれる神出鬼没な最強と謳われるプレイヤーと戦うべく、腕を磨きながらゲーム内の街を探索する。同時にリアルの世界では、ふとした事から知り合った女性と付き合うことになる主人公。ゲーム内の世界とリアルの世界、二つが交互に入り混じって話が進んでいきます。
内容が全然SFじゃないのには肩透かしを喰らった気分。どんなSFを読ませてくれるのかと期待していたからなー。舞台設定は現代そのままだし、人間離れした能力を持つ人たちも出てきません。ハヤカワ文庫のイメージからは大分かけ離れているお話です。
しかし、『All You Need Is Kill』のように読んでいてグイグイと引き込まれるような感覚は無かったものの、話のまとまりではこの『スラムオンライン』の方が一枚上手。SFじゃなくても何の問題もありません。とてもスッキリとした読後感が非常に良かった。裏表紙のあらすじに書かれている通り、これは青春小説ですなぁ。主人公が色々な強敵と戦うことで、「己の求める強さ」に段々と気付いていく過程とか、ゲームとリアル、どちらを優先するかという下りとか、青猫探しとか...どこを読んでも青春小説。面白かったです。
ところで、話の中心にある格闘ゲームですが...ネットワーク対戦型の『バーチャファイター』ですな。ゲーセンからもプレイできるようで、聖地が新宿にあると言う設定なんですが...『鉄拳』の聖地も新宿にありましたが、新宿西口の聖地と書かれているので、バーチャでしょう。あのゲーセンかー。自分は格闘ゲームの類を一切やりませんが、人が格ゲーやっているのを横で見るのは結構好きでした。かの聖地にも何度か行った事がありますが、確かにスゲー人たちしかいなかった記憶が。懐かしい...。