トリックスターズ

『新人ミステリー特集』の一冊。今月デビューの新人さんの一人です。
日本で唯一、魔術を教える魔学部がある私大へと入学した主人公は、本物の"魔術師"が教えるゼミに配属される事に。しかし、その配属発表の時、構内に突如流れた不可解な放送が。その内容は、「殺人予告」だった...。
こんな感じ。大学で起こったとある事件を、"魔術師"佐杏冴奈と、そのゼミに所属する事になった生徒達が追っていくお話です。
とても面白かった。登場人物が多めで、ちょっと各キャラについてページ数が足りないかなぁとも思いましたが、どれもそれなりに個性的で良い感じ。中身もキッチリとミステリーな内容になっていて、上手くまとまってます。
真犯人は予想外でしたが、使われたトリックは大体予想通り。突拍子も無い魔法を使われていたら引くなぁと思っていたのですが、そんな心配は杞憂でした。トリックが当たったので割と満足しながらラストを迎えようとしていたのですが...その後に待っていた「七番目の詐計」に完璧に騙されました。これにはビックリ。まさか最後の最後で、こう来るとは...。こういう驚きがミステリーには大事ですな。いささか本筋とは関係の無い驚きだったけど...楽しめたので問題無し。タイトルが『トリックスター』ではなくて、『トリックスターズ』と複数形になっている意味が良く分かります。いやー素晴らしい。
続きが出そうな感じの伏線が張られているので、続きには期待しても良いんでしょうか。これだけのキャラと設定を一冊で使い捨てるのは勿体無い気がするので、是非とも続編を。