飾られた記号

「新人ミステリー特集」と銘打たれた一冊。新人です。
"情報場"と言う、超能力めいた能力を教える学校を舞台に起こった殺人事件。第一発見者である主人公・朝倉渚は、事件の真相を知りたいと、独自に調査を始めるが...。
こんな感じ。いつも一人でいる事から周囲から"Φ"と呼ばれるクラスメートの日阪道理と共に、主人公が事件を追っていくミステリー作品です。
なんか微妙な一冊でした。情報場の説明が少なすぎて、具体的にどんなものなのか、イマイチ良く分かりませんでした。この力が事件に絡んでくるのは良いのですが、この力で出来る事が不明なので、事件の真相を聞いても「あーそんな事も出来るんだ」としか思えず、全然驚きが無い。驚きの無いミステリーは...どうなんだろう。
キャラについても、探偵役っぽい位置付けの道理は、時々周囲に強烈な違和感を与えるキャラのようですが、この点も文章からはちょっと伝わってこないし、主人公はとても印象が薄いし...。中盤以降、読んでいる途中で主人公の出てきても、それが主人公だという事をすっかり忘れてたからなぁ。ミステリーにキャラは不要だと言う話もありますが、それはあくまで、キャラ無くても面白い話が作れるからだと思うんですが。
また一行の半分にも満たない文字数で改行された文が数ページ続く所とか、音を伸ばす表現で「ー」の使い方などに、「なんか森博嗣っぽいなぁ」と思いながら読んでました。そしたらあとがき曰く、森博嗣は特別な作家だと書いてあって、激しく納得。しかし、改行の続く表現が幾らなんでも多すぎる気がします。多用すればするほど、狙い効果がどんどん薄くなると思うんだけどなぁ。
続編が出るっぽいので、今後キャラが立つか、意外性のある事件の話になるか...一応期待。