夜よりほかに知るものはなく

冴木忍の新シリーズ。『ザ・スニーカー』掲載分1話+書き下ろし1話で構成されてます。
舞台となるのは、大魔導師リュシアンによって妖魔が解き放たれ、荒れきった世界。リュシアンの血を引く主人公が、その血の束縛から逃れる方法を探して、相棒の妖魔と共に旅をする話です。
全体に漂う雰囲気といい、力はあるけど不幸なキャラが主人公な所といい、話にあんまり救いが無い所といい...例え作者の名前が書いてなくても、まず間違いなく冴木忍の本だと分かりますな。暗い雰囲気のする世界に加えて主人公は相棒から「根暗」なんて呼ばれていて、さらに話は淡々と進むので、全体的にとても地味な感じです。いかにも冴木忍な感じのする内容でした。
ただ、世界観や主要登場人物の説明が少々不足気味で、最初理解するのに苦しみました。第一話は『ザ・スニーカー』に掲載された短編なので、あまり説明にページ数を割けなかったのかも知れませんが...これじゃ良く分からん。
と言う訳で、可もなく不可もなくと言った内容の一冊でした。しかし、今後もこんな感じに淡々と進んでいくとなると、ちょっと辛い気が。次巻ではもう少し派手な展開を期待したい所です。