僕らはどこにも開かない

今月デビューの電撃新人その二。イラストの全く無い電撃文庫新刊です。
自分を魔法使いだと信じている少女、殺人願望がある少年、他人の心を読み取る少女、そしてどんな"属性"にも染まっていない少年。どこか壊れている登場人物達で繰り広げる、微妙にミステリ仕立てな作品です。
表紙とあらすじを読んだ時は、多分自分には合わない作品なんだろうと思っていたのですが、読み終わってみれば予想より大分楽しめました。壊れた登場人物が沢山出てくる話は、キャラの思考についていけない事が多いんですが...この作品の場合、キャラクタたちはそれ程突き抜けてぶっ壊れている訳ではないが良かったです。あんまり歪みすぎた性格のキャラばっかりだと自分は楽しめないので、このぐらいが丁度良い。
個人的に気に入ったのは、後半にある魔法使い少女と彼女の友達の会話。魔法と言う枠に囚われていた少女が、友人からの指摘で自分の本心に気付くと言う流れなんですが、魔法少女の反応が個人的にかなりツボです。作品の傾向からするとちょっと浮いた感じのする部分かも知れませんが...面白いから気にしない。
と言う訳で、予想よりも満足な一冊でした。続編はおそらく出ないと思うので、次は別の話を書くと思われます。結構期待。