七姫物語 第三章

待ちに待った『七姫物語』の新刊。約1年4ヶ月振りぐらい。
七つの主要都市がそれぞれ先代の王の姫を擁立し、勢力の拡大を目論んでいる東和の地。1巻にて四宮・ツヅミとの戦争に勝った七宮・カセンだったが、四宮と同盟関係にあった三宮・ナツメがツヅミを開放しようと兵を動かす。七宮もそれに対向するが、ツヅミを巡る三宮と七宮の争いに、他の都市が介入しようと動き出して...。
こんな話。前巻はカラカラが主役だったのに対し、今回は空澄姫が主人公。七宮・カセンと三宮・ナツメの、ツヅミを巡る争いがメインとなる内容で、七宮と三宮の姫である空澄姫と常盤姫を中心として話が展開していきます。また一宮や二宮、それに五宮と六宮も独自の思惑を持っており、それぞれの姫達も結構な割合で顔を出したりしていて、東和の地にいよいよ大きな動きが訪れたと言ったところでしょうか。
カラカラの出番が殆ど無かったのは少々残念ですが、待っただけの事はある。とても面白かったです。それぞれの都市が己の独立性を保つがために争ったり策謀を張り巡らしたりしているにも関わらず、カラの視点を通して語られる物語は本当に透き通った印象を受ける。この独特の雰囲気がとにかく読んでいて心地良いのです。話の概要だけ見れば、いつドロドロで血生臭い話になってもおかしくないんだけど、そういった側面も書き方一つで、全然暗い雰囲気が漂ってこなくなるのが凄い。だんだん姫らしくなっていく空澄の振る舞いも読んでいて面白いし...素晴らしい。
今回、東和にいる全ての姫が登場しています。二宮や五宮, 六宮の姫達はあんまり好きになれなかったのですが...三宮の常盤姫はかなり気に入りました。二宮の翡翠姫のような高慢さは無く、微妙に現実感の無い五宮の浅黄姫, 六宮の萌葱姫よりも着実に己の都市であるナツメの事を考えて行動する実直な姿が良い感じです。絵描きのエヅと常盤の出会いのシーンとか、その後のエヅとのやり取りなんかもグッド。特に、エヅが常盤の正体を知ったシーンは、その光景が目に浮かぶようです。
また、衣装役さんの活躍にも注目。電撃hpのSPECIALに載っていた外伝は、いつか文庫化されるんでしょうか。サラッと立ち読みしたぐらいで内容をきちんと覚えていないのが微妙に悔しい...。
本格的に話が動き出した感じがするので続きが気になる所ですが、4巻はいつ頃出るんだろう。このクオリティなら年に1冊ぐらいのペースでも満足できますが...それでも早く読みたいと思ってしまうのも事実。今年中に読めると良いなー。