順列都市

『宇宙消失』に続いて、グレッグ・イーガンに挑戦その2。人間の人格をコンピュータ上にコピーする事が出来る世界を舞台に、ある男がコピーが永遠に稼動し続ける方法を見つけ出して...と言うお話。
人格をコピーできると言う辺りの話は大分とっつきやすい内容でした。しかし、『宇宙消失』は不確定性理論に基づいて未来を自分の都合の良いように決定出来ると言う話だったと思いますが、この『順列都市』は、話の根幹である「塵理論」が少々理解し辛い。
無限に自己拡張していくコンピュータを、物理的にコンピュータ上でシミュレーションしたら、シミュレーション終了後もそのコンピュータは自己拡張していくだろう。よってシミュレーション上のコンピュータで自分のコピーを走らせたら、コンピュータの破壊や停止に怯える事なく、永遠にコピーとして生きる事が出来る...と言う理解で良いんでしょうか...イマイチ自信が無い。
もう一つ、ラストに世界が崩壊していく部分もちょっと自分の頭では理解がついて行きませんでした。何千年と続いた世界が、なんで理論に誤りがある事を指摘されただけで瞬時に崩壊するんだろう。認識の問題なんだろうか? 観察によって世界が決定されると言う考え方からすれば、分からなくもありませんが...。
あんまり細かい理論的な部分が気になってしまうと、お話として楽しめなくなってしまうのは分かっていても、どうも読んでいて気になってしまう性格なのは微妙に損な気がします。イーガンのSFって読んでいて信憑性があるように感じてしまうから、なおさら。
細かい所をサラッと流せるような読み方を身につけたいですな。