とある魔術の禁書目録 5

禁書目録』第5巻。電撃hp掲載分に書き下ろしを加えた短編集...とあとがきには書いてありますが、あんまり短編集じゃありません。
異能力者を育成する学園都市を舞台に、8月31日、夏休み最後の日に起こった幾つかの出来事を複数のキャラを主役に据えて書き上げた感じの内。上条当麻御坂美琴・一方通行の3人がそれぞれ厄介事を抱え込み、それらがお互いに絡み合いながら話が進んで行きます。
この巻はこのシリーズで一番面白かった。このシリーズは基本的に熱いシーンのオンパレードで構成されています。あらゆる異能力を右手で触れただけで消し去る事の出来る"幻想殺し"の力を持つ主人公・上条当麻が、各巻で厄介事に首を突っ込みボロボロになりながらも強敵を倒す、と言うのがこのシリーズの基本的な流れ。しかしこれまでは、当麻が厄介事に関わる動機がイマイチ不明で、せっかくの熱いシーンも感情移入できない事が多かったのですが...今回は違います。
当麻に替わって熱いシーンを担うのは3巻で敵役だった"一方通行"。あまりに強大な力を持つが故に凄惨な実験へと協力し性格が荒みきった"一方通行"が、一人の少女と出会う事で徐々に心変わりし、己の力を破壊や攻撃のためではなく、「護る・救う」事に使うようになっていくのですが...これが凄く熱い。その心境の変化も良く書かれていて、感情移入しながら読めた事が非常に良かった。当麻の動機に納得行くものがあれば、これまでの話でも同じぐらい楽しめたんだろうなぁ。
御坂美琴の話は、言い寄ってくる男子生徒を諦めさせるために当麻と擬似デートする内容です。美琴のツンデレっぷりが最高。またまた出番の減ったインデックスに変わって、本格的にヒロインの座を狙って欲しい所ですな。
もう一つ当麻とインデックスの話もあったのですが...残り二つが面白すぎたので、これはどうでもいいや。
と言うわけで、非常に満足出来た一冊でした。この調子だと、次の巻にも期待できそうで楽しみです。