シリアスレイジ

今月の電撃新刊。まずは新人から。第11回電撃小説大賞・選考委員奨励賞受賞作です。
舞台は近未来。あらゆる動物に感染し、その有様を変化させる"TDH"と呼ばれる最悪のウィルスの蔓延により、自然環境は一変していた。多種多様に変化を繰り返す"TDH"に対抗するため、凶悪化した動物たちの潜む地域へ赴き、ウィルスのサンプルなどを取得する職業「変異種採集者」を目指し大学で勉強中の主人公は、ある日サバイバル実習に参加するが、そこで事件が...。
すげー面白かったです。「能ある鷹は爪を隠す」と言う言葉がピッタリと当てはまる主人公が、突然訪れた危機を前にして徐々に本領を発揮していく姿がとにかく素晴らしい。少々万能過ぎるだろうとも思いましたが、それよりも次にどんな手段が飛び出すのかワクワクする気持ちの方が強い。クライマックスも充分に盛り上がるし、非常に楽しめました。また奇人変人の集団だけど能力はズバ抜けていると言う、主人公の所属する研究室の設定もツボ。あんまり出番はありませんでしたが、こういうの大好きです。
さらにエピローグには終始ニヤニヤしっぱなし。主人公の幼馴染とヒロインによる三角関係の勃発が最高。この部分だけで、この作品に対する評価が倍増しました。ヒロインの天然っぷりが凄いからなぁ。自覚せずにやっているのが面白いです。ホント素晴らしかった。
と言うわけで、大満足な一冊でした。今年の2月に出た電撃小説大賞の受賞作と比較しても、1,2を争う面白さだったと思います。是非とも、是非とも続編を。