太陽の簒奪者

第34回星雲賞受賞作。既に単行本として発売されていた作品の文庫化です。
謎の物質が水星から突如として大量に巻き上げられ、やがて太陽を覆う巨大なリングとなった。リングによって太陽光の一部を遮られた地球は、大異変に襲われる。何を目的として作られたのか不明のまま、しかし訪れた未曾有の危機を克服するため、一隻の宇宙船がリングの破壊に赴くが...。
こんな話。とても面白かったです。読んでいてとにかく続きが気になる話で、ワクワクしながらページをめくってました。この、「先が気になって仕方ない」と言う感覚が味わえる作品はなかなかありません。伊達に星雲賞に輝いた作品ではありませんな。
何十年と言うスパンの長い話を一人の女性の視点から描いている作品で、時が進むに連れ、太陽を覆ったリングの謎が徐々に解けていきます。一体何故リングが作られたのか? その目的は? 誰が作ったのか? 等々が段々明らかになっていくわけですが、しかし謎の解明は一筋縄では行かず、二転三転。予想を覆される展開が非常に素晴らしかった。
また巻末に谷川流が一筆書いてますが、その内容には激しく同意。やっぱり驚きは大事ですな。