呪縛の島の魔法戦士

リウイの新刊。
古代の付与魔術師・ヴァンの鍛えた魔法の聖剣「ファーラムの剣」を探し、呪われた島・ロードスへと上陸したリウイ達一行。カシュー王とパーン、ディードと出会った彼らは、パーンの持つ剣と鎧がヴァンの鍛えた武具だと気付く。捜し求めている「ファーラムの剣」である可能性があるので、リウイ達は何とかしてパーンに譲ってもらおうとするが...。
こんな話。遂にパーン達が登場。時代的には『ロードス島戦記』の5巻と6巻の間に当たるんでしょうか。まだマーモ帝国は健在で、パーンもロードスの騎士とは呼ばれていない時代。物凄く面白かったです。
魔法戦士リウイ』として面白かったと言うよりも、『ロードス島戦記』の外伝として面白かった。リウイ達、つまりロードス島とは全く関わりの無い人間がパーンやディードを見てどう感じたのか。これが書かれているのが、とても素晴らしかったです。
まず冒頭のカラーイラスト。リウイとパーンが剣の稽古しているシーンが描かれています。この絵自体は普通なのですが、そこに添えられている台詞が凄まじい。
あんたの本気を見せてくれ。オレはそれに返したい
オレの本気? お前、死ぬぞ
上の台詞がリウイ、下の台詞がパーン...誰ですかこれは!! パーンが格好良過ぎです。その昔、ゴブリンの群れに突撃して死にかかった人間と同一人物とはとても思えない。上の台詞以外にも、あちこちでパーンの格好良さが滲み出ているのがとても新鮮でした。これまでは、パーンやスパークを主人公とした話しか読んでいなかったから、イマイチ客観的な姿が良く分かっていなかった。パーンってロードスの英雄だもんなー。そりゃあ格好良いわ。リウイの連れであるマイリーの女性神官は、パーンの勇者っぷりに完全にイカれてるし。絶対目がハートマークになってます。
また同様に、パーンの強さを改めて実感。リウイが全く足元にも及ばない。ソードワールドのレベルに換算すると、パーンってファイターが幾つぐらいなんだろう...。
もう一つ面白かったのが、ディードに対するリウイの態度。ディードを初めて目にした時のリウイの台詞は「オレは、今、……この世でもっとも美しい者と……出会った……」です。この台詞を読んだ時、電車の中で笑いを堪えるのが大変でした。その後リウイは、全編に渡ってことあるごとにディードの美しさを語るし。ディードが美人なのは百も承知ですが、リウイにここまで言わせるとは...すげーな。『ロードス島戦記』ではここまで褒め称えられた事は無かった気がしますが、これもパーンが朴念仁であるが故なんですかね。
またリウイの旅の仲間は全て女性な訳ですが、彼女らにパーンが目移りするんじゃないかと嫉妬しているディードも良かった。特に終盤で湖に潜るシーンは最高。すねてるディードが何とも言えず素晴らしかった。
と言うわけで、非常に満足した一冊でした。殆ど『ロードス島戦記』外伝の感想になっている気もしますが、まぁ気にしない方向で。久しぶりに登場したパーンとディードは、そのくらい魅力的でした。次の巻もこれと同じぐらい楽しめると良いんですが...流石に厳しい注文か。それでも期待して待ってます。