新フォーチュン・クエスト 10

フォーチュン・クエスト』の最新刊。本編の新刊はすげー久々です。
今回の主役はキットン。過去に試練のダンジョンに挑んだキットンと奥さんのスグリは、ダンジョンの攻略に失敗して記憶を封じられ、お互い離れ離れになってしまっていたのですが、キットンは過去の記憶を取り戻し、ついに前巻でスグリの居場所も判明。冒険も一段落したので、スグリを迎えに行くと言うお話です。
いやー面白かった。ここ何巻かは、正直微妙な感じがしていたのですが...久しぶりにフォーチュンらしいフォーチュンを読んだ気分です。戦闘らしい戦闘は殆ど無く、スグリを迎えに行く過程で、旅先での知人との会話や仲間同士のやりとり等がメイン。今回は結構な距離を行ったり来たりするのですが、その中で、色々懐かしい人物も登場してます。エベリンとコーベニアで、と言えば勘の良い人は分かるかなぁ。出番自体は少なかったけど、出てきた事自体が嬉しい。ちゃんと生きてたんだなぁ...。
んで、話の中心であるキットンですが...格好良かった。伊達にパーティで最年長なわけではありません。パーティの面々が、スグリに昔の事を思い出してもらおうと考えているのに対して、キットンはただ彼女の幸せのみを考えて行動する...大人です。こんな格好良いキットン初めて見たよ。ラストがちょっとアッサリしている印象を受けましたが、それもまた良かったかと。キットンとスグリを心配するパステルやトラップ達も凄く良かったし、良いお話でした。
また、キットン以外の部分でも面白かったところが幾つか。その中で一番良かったのは、マリーナとパステルの話。エベリンではマリーナも出てくるんですが、マリーナとパステルが夜中繰り広げる内緒話が素晴らしい。恋愛話なんですが...マリーナ可愛いです。今は少し望み薄かもしれないけど、だからこそ、とても応援したくなります。もう一つ別のシーンでは、ギアのネタをマリーナに振られて恥ずかしがっているパステルを見て、すげー不機嫌になっているトラップとか。フォーチュンでこういう話が読めるとはあんまり期待していなかったので...最高。あんまりメインでやられても微妙なんですが、全く無いのも寂しいし。今後も適度なバランスで話に盛り込んで欲しい所。
と言うわけで、かなり満足した一冊でした。謎の行商人に関する展開はあんまり無かったのですが、次巻に繋がる伏線はキッチリと張っているので、それなりに話は進んだ感じ。次の巻にはどんな展開が待っているのか、楽しみです。