ディバイデッド・フロント 3

『ディバイデッド・フロント』最終巻。「北関東隔離戦区」にて、憑魔と呼ばれる怪物相手に絶望的な戦いを繰り広げる主人公たちを描いた作品です。
とても面白かったです。前巻のラストを受けて暗い雰囲気で始まった序盤でしたが、イチルの元恋人が出てきた辺りから明るいノリが戻り、そして戻ったのも束の間、一転してシリアスかつ絶望的な展開に。終盤の展開は、途中からなんとなく結末が予想できますが...分かっていても、このクライマックスの展開は凄い。この作品は章ごとに異なるキャラの一人称で書かれているのですが、それ故、それぞれのキャラの心境がダイレクトに伝わってきます。しかもこの作家さんの心情描写はとても巧いもんだから、クライマックスの各キャラの思いには、完全にやられました。特にイチルが...。
また終わり方も綺麗で、この絶望的な話の中にキッチリと希望を残したラストはとても良かったです。作者自ら、ここにイラストを入れて欲しいと頼んだと言う最後のイラストも良かったしなー。ただ、クライマックスの展開から土岐が立ち直る過程がもう少し書かれていたら、もっと良かったかも。クライマックスの絶望からラストの希望までの間が短くて、ここはちょっと物足りなく感じました。それでも充分に面白かったですが。
と言うわけで、大満足なシリーズでした。次はどんなシリーズを書かれるのか分かりませんが、とにかく期待。