眠り姫

衝撃のデビュー作『12月のベロニカ』から1年10ヶ月。ようやく出た貴子潤一郎の新刊は、短編集。全部で7本入ってます。
一番のお気に入りは、後半の3連作である『探偵真木』。回りくどい言い回しの探偵とヤクザの話なんですが...面白い。映画好きなヤクザとビートルズ好きな探偵が織り成すハードボイルド? な雰囲気の中で、探偵の言い回しがとても良い味を出してるように感じました。こういうキャラ好きです。特に3本目。カッコエー。ディカプリオ主演の『ロミオ+ジュリエット』について語るシーンも、相当面白かった。猛烈に見たくなってしまった...。
他の作品では、『さよなら、アーカイブ』は割と好き。『汝、信心深き者なれば』『水たちがあばれる』の2編は、ちょっと自分には合わなかった。表題作の『眠り姫』は、どんな展開が待ってるんだろうと思いながら読んだら、そのまま終わってしまった感じ? ベロニカの現代版外伝と言う事で、雰囲気は良いけど、ベロニカほどの衝撃は無かった気がします。
とりあえず、自分は『探偵真木』で大満足な1冊でした。これシリーズ化は...しないだろうなぁ。