想いはいつも線香花火

一色銀河、数年ぶりの新刊。『若草野球部狂想曲』を読んだのが今年の初めなので、それほど久しぶりと言う気がしないのですが、それでも久しぶりの新刊です。
主人公は炎術使いの家に生まれた高校生。ただし、歴代で唯一炎術が使えないと言うおまけ付き。そんな彼はある日、修行として別の炎術使いの家へと送り込まれる。辿り着いたのは寂れた神社。そして、その家の住人は美人の3姉妹で...。
こんな感じ。長女は美人だけどヤンキーな巫女。次女と三女は双子で、片方は大人しくて優しく接してくれるけど、もう片方は元気イッパイで端から仲良くしてくれる気は無い。そんな家に行ったスケベな主人公が繰り広げるコメディです。
『若草野球部狂想曲』はとても面白かったので、この作品にも期待していたのですが...微妙。微妙過ぎます。主人公の一人称で書かれているんですが、どうにも...。スケベな性格を良く表現していると言えばそうなのですが、正直これだけその手のネタを連発されると、途中で「もういいから」と言う気になってしまう。三人称だったならまだしも、一人称でやられると、地の文で読まされるわけで。別に「主人公は品行方正であるべきだ」などとは欠片も思っていませんが...書き方の問題なんですかね。読んでいて、どんどん品が無くなっていく感じがして、残念でした。
まぁそれはさておき。肝心のストーリーですが、あんまりラブコメしないうちにラストバトルに入ってしまい、そのまま後日談も無く終了。ラブコメ的要素はあるけど、それが盛り上がらないうちに終わってしまったのが、ちょっと物足りなかったかなぁと。後日談なんかは、ラブコメにもってこいな雰囲気になりそうだったのになー。せっかくキャラは全員立ってるのに、もったいない。中盤はそれなりに面白かったので、なおさらもったいない気がしました。
後はイラストですが...今後に期待ということで。それでも、先月読んだ某作品のイラストよりは良かったと思います。
そんな訳で、突如として説明文が入るあたりは非常に一色銀河らしさを感じたものの、総じて微妙。...続き出るのかなぁ、これ。