君の居た昨日、僕の見る明日 1

榊一郎の新シリーズ。略すと『君僕』。『きみぼく』じゃないぞ。
主人公の高校生・長居優樹はある日、登校の途中で奇妙な光景に出会う。見慣れた通学路に、あるはずの無い木造の校舎。蜃気楼のようなその校舎に近づく優樹だったが、突然気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは目撃した校舎の中。周囲には何も存在しないその建物の中で、優樹は一人の少女に出会い...。
こんな感じ。現実世界から隔離された学校の中に迷い込んだ主人公と、そこで暮らしている少女たちのお話です。安定して質の高い文章を書く作家さんの作品は、とにかく安心して読めるのが非常に良い。今回も楽しく読めました。普通に面白かったです。
ちょっぴりラブコメめいた展開と、背景に漂うどこか物悲しい雰囲気が良い感じ。お気に入りは、ラスト付近にある主人公とヒロインの会話シーン。そこでの主人公の台詞回しが良いです。これはかなりの名台詞。ただ...リアルでこんな台詞吐けるヤツが居たら、ちょっと引いてしまいますが。
また微妙にスプラッタ成分を含んでいる辺り、榊一郎の本なんだなぁと妙に納得しました。後はメイドが出てくれば完璧ですな。このストーリーじゃ、まず出て来ないだろうけど...。
まだ1巻なので、この先の展開次第では更に面白くなりそうな雰囲気。ドラマガで連載すると言う事ですが、どんな形になるんだろ。個人的には、もうちょっぴりコメディ分があると嬉しい。あんまりコメディ過ぎても、雰囲気壊れそうで微妙ですが...。なんにせよ、楽しみです。
ところで。どっかで同じように学校ごっこをやる話を読んだ記憶があるのですが、タイトルが出てこない。小説だったかゲームだったかも定かではなのですが...あーもどかしい。