シュプルのおはなし

第10回電撃ゲーム小説大賞で選考委員奨励賞を受賞した作品その1。新人さんですね。
本を読むことが大好きな主人公の少年シュプルは、母親が仕事に出ている間、祖父の家に預けられる。いつものように祖父宅に預けられたある日、シュプルは物置で一つの箱を発見する。中に詰まっていたものはガラクタとしか思えなかったが、それらは実は、祖父の思い出の品々。シュプルはその中の一つを手にとって、込められているだろう思い出を創造し始めた...。
こんな感じのお話。短編が4本収録されていて、各短編はそれぞれ、おじいさんの思い出の品についてシュプルが作った物語になってます。小さな子供が、風船とかスコップとかを題材にして物語を作る。子供が作った話という事で、童話めいた書き方をしているのが、かなりツボ。目を輝かせながら、おじいさんにお話している姿が目に浮かびます。シュプルが一生懸命話している姿が容易に想像できて、なんか微笑ましかった。こういう作品は好き。
しかし語り口とは違い、内容は決して童話ではなく。結婚式があったりギャングが出てきたりと、結構色々な話が展開されます。この辺が作品全体の雰囲気と、各短編の内容が微妙にずれているような印象を受けました。個人的には、もっと童話っぽくしてしまっても良いんじゃないかなぁ? と。語り部は子供なんだし、ベッタベタな童話でも面白いと思うんだけど。