半分の月がのぼる空 2

橋本紡の新刊。前巻のあとがきに、続きが出るようなことが書いてあったけど、本当に出るとは思わなかった。
ちょっとした病気で入院している少年『裕一』と、心臓に重い病を持つ少女『里香』の話。前巻で少し仲良くなった2人ですが、今回は前巻で裕一が同室の老人から託されたエロ本の山を、里香に見つかってしまうところから始まります。
バトルシップガール』に絶望し、『リバーズ・エンド』も最終巻で肩透かしを喰らったため、自分の中での評価はもの凄く下がっていた作家さんなのですが、『毛布おばけと金曜日の階段』で少し持ち直し、この作品の前巻でかなり持ち直していました。さて、この巻はどうかと思い読んだのですが...ヤバイ、面白い。凄く良い。
前半のラブコメパートにのたうちまわり、後半に漂う悲壮感には完全に打ちのめされました。『毛布おばけ〜』あたりから思ってたんですが、やっぱりこの人はSF書かないほうが面白い。あとがきで「SFっぽい要素を〜』云々見たいな事が書かれてますが、入れなくていいです。むしろこのままでお願いします。マジで。
この2人の不器用な恋愛模様には、終始悶えさせられました。ラブコメはこじれてなんぼという自分の嗜好に、この展開はモロにツボ。しかもそこに病気と言うファクターが加わって...あーもう。評価なんて、完全に回復です。とにかく続きが読みたい読みたい読みたい。読みたくてしょーがない。
しかしこの本を読んで、宮沢賢治を読んでいなかった事を激しく後悔しました。読んでおくべきだった。そうすりゃこの巻は何倍も面白く読めただろうに...。