我が家のお稲荷さま。 柴村仁 / 電撃文庫

第10回電撃ゲーム小説大賞・金賞受賞作。昨年の金賞と言えば『バッカーノ!』『七姫物語』と、面白い作品でしたので今年も? と期待しつつ読了。
とある司祭の一族の末裔である兄弟はある日、母親の実家へと呼び出される。どうやら弟が妖怪に命を狙われてるらしいのだが、それを防ぐだけの力は現在失われてしまっている。そこで弟を助けるために、一族のの守り神である大霊狐・天狐空幻を封印から解き放つのだが...。
こんな話。最初、表紙とあらすじを見たときは「...いぬかみ?」と思ってしまった。しかし読んでみるとそんな事はほとんどなく、家族愛とか友情とか、そういったものを取り上げた作品でした。
個人的には「熱い!」「悲しい!」「もえる!(好きに変換しろ)」等、ストレートに感情に訴える感じの作品が好みなので少々物足りない印象を受けましたが、ほのぼのとした雰囲気が好きな人には面白いんじゃないでしょうか。
文章はかなり荒いかなぁと思いましたが、その反面、キャラクタが魅力的。特にメインキャラの狐・天狐空幻。読んでみると、表紙絵とのギャップに良い意味で裏切られます。他にも兄の同級生とかは、今後の展開次第ではいい味出してくるんじゃないかと。
帯にある時雨沢恵一のコメント「続きまだ?」は、自分も同感。この巻自体は正直物足りない。ラストシーンとかは展開が急すぎる気がしたし、もっと感情的に書いて欲しかった。けど、このキャラクタ達を使った作品は、もうちょっと読んでみたい。そんな感じの作品でした。
明日は銀賞受賞作ですよ〜。