塩の街 wish on my precious 有川浩 / 電撃文庫

今月の新刊は、とりあえず賞とったやつから読んでいくことにします。最初は今年の電撃ゲーム小説大賞・大賞受賞作。
突如として流行した、生物が塩の柱と化してしまう『塩害』に見舞われた世界。日本もその例外ではなく、社会は崩壊し治安は悪化する一方。そんな中で出会った、一人の少女と青年の恋物語
近未来SF? なのか、これは。文章はしっかりしていて、違和感なく読めたんだけど話の展開が...微妙。序盤〜中盤までは、この災害に対する話なんですが、後半は恋愛要素が強くなる展開。この恋愛部分が、ただの恋愛モノになってしまっているのがとても残念。前半部分の話が面白かっただけに、余計に。滅亡の淵にいると言う設定が、後半に行くに従って脇に追いやられてしまっている感じを受けました。まぁ作者が書きたかったのは後半部分で、設定なんてのはとりあえず世界が滅びそうなものだったら、なんでも良かったんだろうけど。しかしそれだったら、もうちょっと後半で盛り上がって欲しかった。もったいない。
けどそれでも、登場人物の一人が語った「愛は世界を救うって、ヘドが出そうなキャッチコピーの番組」のくだりは良い。こんなに堂々と書いて良いのか? と思いつつも、これも一つの考え方だよなーとひどく納得してしまった。言っている事は極論だけど、あながち間違いじゃない所がグッド。このキャラが一番気に入りました。
明日は金賞受賞作です。お楽しみに(いるのか?)。