トライ・クロス! 2 魔は北より降る 友野詳 / 角川スニーカー文庫

このシリーズは随分久しぶりの刊行。友野詳の作品自体は百鬼夜翔で読んでるからそれほどでもないんですが。
空を魚が泳ぎまわる不思議な世界を舞台としたお話。主人公は身寄りのない子供達を束ねる、スラムの小悪党。前巻で行方不明となってしまった子供を捜し、色々嗅ぎまわっていたところ、ある陰謀に巻き込まれて...。
かなり文章に癖があって、好き嫌いがはっきりと分かれる作家だと思いますが、自分はかなり好きです。この作品で気にってるのは、その世界観。鮫や鯱にまたがって空を翔けれるという世界設定がかなり気に入ってます。主人公の使う武器が呪いで硬直させたデンキウナギとかだったりするのも、新鮮で良いです。
これだけ聞くと、なんかメルヘンな話かと思われそうですが、むしろ反対。綺麗なものをグロくアレンジする才能は流石。この巻でもその才能の一端を垣間見た気がします。
しかし状況説明が上手くないというか、曖昧に思えてしまうのが微妙。今回なんて首の骨折れた人間が、何のフォローもなしに(読み違えてなければ)普通に動いてるし。当然治療のシーンとか一切無しで。これは一体どういう事だったんだろう?
どうやら次巻で第一部完結らしい。どうまとめてくるのか、楽しみです。