筋肉の神マッスル

突然現れた、いかなる兵器の攻撃も通用しない大猿・猿神。この猿に引き連れられて、益荒市は猿に荒らされ尽くしていた。益荒市には、益荒神社の神・まっする様の使いとして選ばれたものが救世主として災厄と戦う、と言う伝承が伝わっており、この伝説通り、神託が下されて一人の少年が選ばれるのだが...と言う感じに話が始まります。

面白かったです。インパクトのあるタイトルに惹かれたのですが、その期待を裏切らない内容に満足。おバカな話なのに、真面目ぶって進む展開が素晴らしかったです。
神様に特別敬意を払う事はないけれど、自分が暮らしていた街(と言うか、そこに住んでいた女子達)をこよなく愛していた主人公は、救世主として選ばれた事を受け入れて戦おうとしますが、神社にあるとされていた神の力を宿した武器は長い月日の中で失われ、残っていたのはまっする様本人の力のみ。筋肉の神様から授かった力のみが頼みの綱ですが、それすら一見ショボいもので...と、先の展開が読めそうな流れが進むのですが、一つ一つの要素がしっかりと書き込まれていて、飽きずに読めたのが流石だと思いました。
ヒロインポジションに座るのは、まっする様に仕えて千年を生きる美少女巫女。主人公は、色々あって巫女さんを連れて帰るのですが...なんせ現世から離れて暮らしていた彼女。現代の常識を知るよしもなく、時代のギャップから生まれる勘違いが可愛らしかったです。ラブコメ要素は皆無ですが、子供の子供らしい振る舞いは微笑ましいです。

そして終盤は筋肉筋肉!! 序盤から中盤は殆ど筋肉無関係な展開が続いたのですが、ラストはきっちりと筋肉でした。まっする様の力を正しく理解し、その力でもって猿神と対峙する主人公が格好良かったです。元々勝ち気な性格で、猿神を前にしても一切引かない所が良かった。こう言う性格の主人公って最近あまり見ないから、それだけで嬉しくなってしまう。
しかし、もっと筋肉だらけでも良かったなぁとも思いました。最初から最後まで筋肉祭り!! ぐらいの展開まで覚悟していたのですが...。どうやらシリーズ化するようなので、続きに期待したい所です。