断章のグリム 17

童話をモチーフとした怪奇ホラー『断章のグリム』シリーズ、遂に最終巻。

不死の身体を持ってしまった神狩屋の「死にたい」と言う欲求から始まった、あまりにも凄惨な事件の数々。死ぬためには蒼衣の断章を暴走させるしかない。上巻で自分のトラウマに直面させられ、どんどんと弱っていった蒼衣でしたが、この下巻でもそれは変わらず。水から封印していた記憶を強引に掘り返され、仲間も次々と倒れていく。本当に辛い展開の連続でした。
そんな状況の中、雪乃さんが唯一の支え。ツンツンツンツンしていた雪乃さんですが、やっぱり蒼衣には心開いていますね。ちゃんと差さえとなってくれている所が凄く良かったです。その反面、この展開で雪乃さんまでいなくなったら...と言う不安が読みながらずっとつきまとっていたのですが...。どうなったかは読んでのお楽しみ。
終わってみれば、そこまで酷い結末ではなかったなぁと言うのが率直な印象です。まだまだ続けられるけど、取り合えず一区切り、みたいな。主人公たちの人生の一部を切り取ったようなシリーズだったと思います。事件の規模は大きかったけど、得るものは少なく、いかに失うものを少なくするか。そんな未来のない世界で生きていく、乾ききった空虚さの残る雰囲気が何とも言えず。決してハッピーエンドだとは思わないし、主人公たちの未来を思うと、いつか皆酷い最期を迎えるんだろうな、とは思うのですが...なんと言うか、せめてその時までは幸せに生きてくれ、と思いました。
しかし、グロい展開にはかなり耐性がついたなぁ。少々の事では動じなくなってしまった。良い事なのか悪い事なのか...。