チェンライ・エクスプレス

第18回電撃小説大賞・最終選考作。
チェンライと言う小さな国を舞台に、心を失った少年、力のない魔女、カマを失くした死神...等々、人間と人外の入り乱れた沢山のキャラクタがそれぞれの事情を抱えて繰り広げる群像劇。

群像劇は視点の切り替えが多くて話の繋がりを把握するのが大変、と言う印象が強いのですが、この作品はスラスラと読めました。確かに焦点の当たるキャラクタは順次切り替わっていくのですが、話の展開は基本的にシリアル。前のキャラの関わった出来事に次のキャラが関わる...と言う展開が多く、話の繋がりが明確だった事が良かったです。
その反面、伏線が想像もつかない部分に繋がる、と言うような驚きがなかったのは残念。読み易さとはトレードオフな関係なのかもしれませんが、もう少し意表を突かれる展開があると良かったと思いました。
沢山のキャラクタが登場しますが、自分は魔女の子と心を失った少年の話が良かったです。一応、主役の2人と思って良いのでしょうか。ラストがとても綺麗でした。お幸せに。