サクラダリセット 7

シリーズ最終巻。遂に完結です。
能力者の街・咲良田を舞台に、一人の少年が、自分の考える幸せを掴むために我儘に努力を重ねて、ようやく辿り着いた結末。優しくて綺麗なんだけど、どこか寂しくて切なくて。そんな展開の果てに辿り着いた、読み終った時の余韻が素晴らしくて、ずっとこの感覚に浸っていたい、そう思わせてくれた作品でした。
話の中心にいるのは、ケイ、相麻、そして春埼。この3人の感情が希薄だと思っていたのははるか昔。今では、何よりも自分たちの気持ちに正直に、そのためにはどんな我儘だって押し通す。特にケイの静かな想いは最後まで力強かったです。ケイの見つめる相手は春埼だけど、だからと言って相麻が不幸になる事は絶対に許容出来ない。相麻が不幸なままでは自分が幸せになる未来なんて無いとばかりに、自分が振る事になる相手の事すら救おうとする。ある意味傲慢なまでの目標に、決して諦めずに挑み続けたケイには感服しました。でも、そのぐらいの気力が無ければこの結末は得られなかったと思います。
そして春埼。作品中で一番成長したのは彼女でしょうか。終盤、彼女がケイに出した「条件」、それを目にした時の衝撃と言ったら。まさかこんなお願いが飛び出すとは思いもよらず。最初は全然人間味が無くて色の薄いキャラだと思っていたのに...こんなに色鮮やかになるとは。いつか相麻とは親友になるんだろうなぁ。表面上はお互い絶対に認めないだろうけど。
これでシリーズ完結。素晴らしいシリーズに出会えた事、そして最後までキッチリと読めた事に感謝を。ありがとうございました。