ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件

Book

野村美月の新シリーズ。あらゆるジャンルで天才な双子の姉を持つ弟が主人公。同盟国の王族の家庭教師として派遣される、その直前に失踪してしまった姉の代わりに、弟が女装して姉になりすまして派遣される事になって...と言う感じに話が始まります。

面白かったです。決して無能では無いけれど姉に比べればどうしたって見劣りしてしまう主人公が、開き直って奮闘する展開が良い感じ。コメディ色が強いのですが、所々良い話も混ざっていて様々な雰囲気が楽しめる1冊でした。
家庭教師として受け持つ事になった王族は、王子が2人に王女が3人。全員まだ子供で、主人公よりも大分年下。
しかし天才の第一王女には正体を見破られかけ、イタズラ好きの第二王女と第三王女にはからかわれっぱなし。実直な第一王子は何故か主人公の美貌に騙されて挙動不信になって、本当に幼い第二王子にはどう接して良いのか良く分からない。一難去ってまた一難...と、休む間もなく進むテンポの良さ。波乱万丈な展開が怒涛の勢いで続くのが良かったです。
加えて、時折そんな状況に切れて、相手が王族だと言う事を忘れて真剣に叱りつける展開があったのも良かったです。なすがままにやられるだけの展開にならず、キチンと躾ける。本人は意図していないだろうけど、これって重要な事ですね。どんどん皆との壁を打ち砕いていき、仲が深まっていく。こう言う変化って多分、姉が家庭教師をしていたら得られなかったんじゃなかろうか。それとも天才ならこのぐらい楽勝なのかな。
まだまだ始まったばかりなのですが、主人公の正体がいつ皆にバレるのか? とか、完全に女と勘違いして惚れている第一王子etcはこの後どうなるのか? とか、唯一人主人公を男として意識しそうな第一王女は? とか、気になる展開が目白押し。続きがとても楽しみです。