双界のアトモスフィア

第23回ファンタジア大賞・銀賞受賞作。科学技術が発達した世界・科学世界。神や悪魔が実在し、魔法技術が発達した世界・術式世界。似て異なる2つの世界が突然合一してしまってから50年が経過した世界が舞台。学生ながら術式世界に生息する怪物からの脅威と戦う組織・D.S.Tに所属する主人公はある日、任務中に何者かに追われていた少女を助ける。その少女、かつての幼馴染であり竜人の末裔であるヴァルハラ国の皇女・アイリスで...と言う感じに話が始まります。

面白かったです。メカと魔法が混在する凝った世界観に、特徴のあるキャラが入り乱れながら進む展開が良い感じにワクワクさせてくれました。学園ファンタジーの要素をシッカリと残しつつ、より大きなイザコザに巻き込まれていく所が、色んな側面を楽しめて良かったと思います。加えて、主人公が皇女と幼馴染と言う設定が素晴らしく美味しい。しかも昔に色々あったようで、互いに互いが大事なのに主人公は自分の力が彼女を傷つける事を恐れ、皇女は主人公が過去を気に病んでいる事を憂う。微妙な距離感が大変ヤキモキします。お互い別に素直じゃない訳ではないので、すれ違っているのとは異なるのですが...気持ちを切り替える踏ん切りがつかないとこうなるのかなぁ。良いから本気出せよ!! と読みながら何度思った事か。
主役2人以外のサブキャラも濃いメンバーが揃っていて面白かったです。出番は少ないんだけど見せ場はそれなりにあるのが好印象。主人公達2人の仲が鉄板過ぎるのでラブコメ的展開にはあまり期待出来ませんが...かませ犬ぐらいにはなるんだろうか。引っ掻き回すだけ引っ掻き回してくれると楽しそうです。恋愛絡み以外でも、普通に話を盛り上げてくれそうだし。
まだまだ話は始まったばかり。ラストの展開を見るに話はこれからですね。続きがとても楽しみな1冊でした。