ようこそ、古城ホテルへ 2

それぞれ訳ありの女の子4人が集まり、古城ホテル『マルグリット』の女主人となるお話の2冊目。前巻で正式にマルグリットの女主人となった主人公たち。今回はそんな宿に特別なお客様が泊りに来るタイミングで、魔女っ娘・ピィが、魔山からの刺客に狙われる...と言う展開。
面白かったです。角川つばさ文庫と言えば子供向け。確かに子供向けっぽい雰囲気が漂うのですが、それにほろ苦さが加わる所が良かったです。今回の中心はピィ。過去にあった悲惨な出来事が原因で山を追われた魔女。追放されたのだからそこで過去との決別は済んでいる...と思いきや、そんな優しい話ではありませんでした。その身に宿した高い魔力を狙われて、かつての同胞に襲われる。一度は捨てたものを利用するためだけに奪おうとする大人のやり口にイライラとしましたが、そんな気分を吹き飛ばしてくれたのが『マルグリット』の仲間達でした。
リ・ルゥにフェノンにジゼット。最初は強引に集められた面々ですが、それは昔の話。もうお互いがお互いを仲間と認め、大事な友人として接している以上、こんな横暴を見過ごすはずもなく。相手が誰であろうと引かずにピィを助けるために奔走する姿が良かったです。しかも、そんな状況でもホテルの事を放置しない所も良かった。すぐにでも助けに行きたいけれど、その気持ちを押し殺して帰るべき場所をキチンと守る。特にリ・ルゥが素晴らしかったです。彼女の性格を考えれば、一番に飛び出して行きそうな所なのに、お客様の存在を忘れずに最後までキッチリと女主人として振る舞う姿が格好良かったです。
厳しい展開が続く中、最後にはほんわかとした気分にさせてくれる所も良かった。やっぱり、一度泊まってみたいと思う宿ですね。続きにも期待。