ゴールデンタイム 4

過去の記憶を事故で失った大学一年生の主人公と、大学で出会った様々な人達との恋愛模様を書いたシリーズ4冊目。
面白かったです。面白かったけど...これは苦しい。どんどんと泥沼化していく状況が、読んでいて息がし辛くなってくる。超美人でゴージャスだけど愛が重い香子と付き合う事になった主人公。しかしサークルの先輩であるリンダが、実は高校時代の友人で、記憶を失う前に大好きだった人と言う事が判明。過去と現在、2つの恋に挟まれて悶える展開が、うーわー。
これと言って大きなイベントがあった訳でもないのに、ちょっとした行き違いから気持ちが溢れて、押し止める事が出来なくなる。体調不良で倒れた主人公を香子より先にリンダ先輩だったり、香子を海に連れて行きたくて黙ってやったバイトがリンダ先輩と一緒だったり...香子の性格を考えると、どちらも黙ってはいられない。これでもか言うほどに揺さぶられる恋愛模様がもどかしく、そして痛い。
主人公の気持ちの揺れ方も、凄く切なかったです。記憶が時折戻ってリンダ先輩が恋しくて恋しくてたまらなくなるのに、今の彼女はリンダではなくて香子。現在の自分は香子が好きなのに、過去の自分がそれを邪魔する。過去との決別を決意する主人公が最後、リンダ先輩と話す展開でしたが、この選択はどうなんだろう。自分の血肉だった存在を切り落として、その先に幸せが待っているとは到底思えない...。見たくない部分を隠したって、消えて無くなる訳じゃないのに。
どんどん泥沼にはまっていく感じばかりする展開には不安しか感じないのですが、それが面白いです。早く続きが読みたい。