姫狐の召使い

織田信奈の野望』の作者が富士見ファンタジア文庫から出した新シリーズ。
嗅覚が物凄く鋭い主人公・光と、そんな主人公にベタボレな幼馴染の紫。とある神社を探検していた所、突如として平安時代に召喚されてしまった。主人公たちを呼び寄せたのは安倍晴明を名乗る、狐耳の少女。主人公たちを式神として招いたものの、紫とははぐれてしまい、探しまわる事になるのだが...と言う感じに話が始まります。
安倍晴明が美少女化されていて、流石は『織田信奈の野望』の作者だと思いました。晴明が出てくるなら当然のように芦屋道満も出てくる訳で、こっちも普通に美少女。最早なんの疑問も覚えずに読めてしまい、我ながら毒されているなぁと思ったり。しかし面白かったです。分かりやすくハーレムラブコメなんですが、それが良い感じ。
主人公とヒロインの名前から分かる通り、源氏物語も混ざってくる展開。帝から源氏の苗字を与えられ、ついでに葵の君が許嫁に。見事にツンデレキャラでした。葵の君はこうでないと。そんな葵の君と美少女である安倍晴明と同じ屋敷に住む事になる主人公ですが、そんなハーレムっぽい状況に放り込まれても、考える事はただ一つ。「紫はどこ?」と言う事だけ。素晴らしい一途さ加減です。とんでもない迷子癖のあるヒロインを、何時だって迎えにいっていた主人公。例えそれが日常を離れた土地だとしても変わらない。凄いなぁ。
しかし紫。名前の通り、どう考えても正ヒロインで他のキャラが割り込む余地は皆無ですが、気が付けば主人公の周りはハーレム化。ツンツンしていた葵の君はあっという間にデレたし、晴明は晴明で、妖狐の娘として生まれた身の上を気にせず傍にいてくれる主人公に惹かれまくり。修羅場の予感しかしない展開が好み過ぎます。紫は良い感じに嫉妬深いので、もう荒れる荒れる。ラブコメは拗れてなんぼです。いいぞもっとやれ。
こんな感じで、楽しく読めた1冊でした。どうやらシリーズとして続くようなので、続きが楽しみ。