豚は飛んでもただの豚?

第7回MF文庫Jライトノベル新人賞・最優秀賞受賞作。
中学時代に喧嘩に明け暮れていた新高校生が主人公。親戚の定食屋でバイトしていたが、ある日食い逃げ犯を追いかける最中、一人の少女に助けられる。いざ高校へと入学すると、その少女が同じクラスに。徐々に気になる存在になっていき...と言うお話。

面白かったです。真っ直ぐな青春ものでした。ボクシングに出会ってからは喧嘩を止め、ひたすら鍛える事に専念していた主人公は女子への耐性が皆無。偶然の出会いから高校で再会、と言う運命的な境遇と、ヒロインの屈託の無い性格に惹かれていくものの、芽生えた気持ちが恋だとも気付かず右往左往する姿が良かったです。ヒロインは三つ子の長女。次女がバイト先の同僚となり、その次女からアドバイスを貰っては何とかヒロインと接する事が出来る...と言う始末。男なんだけど、読んでいて可愛らしくて思えてしまいました。初々しいなぁ。
主人公がとても実直な性格なので、ヒロインに対してあまり積極的になれなくても、ウジウジしているようには思えなかったのも良かったです。決断する時はキッチリと選択する所が好印象。また、サブキャラも格好良かった。三つ子の三女に熱烈な想いを寄せているキャラ・神指風太郎なんですが...正義の味方を自称し、自分の信念を貫き通すための努力を怠らない。こう言うキャラ大好き。主人公と拳で語り合い、互いに認めうとか、好み過ぎて最高。
話としては、主人公が長女と仲良くなりたい→次女にアドバイスを求める、と言う流れで進みます。しかし次女にアドバイスを求めるためにちょくちょく一緒にいる所を見られて二人の仲を勘違いされる展開は、切ないものがありました。読みながら、こうなるだろうなぁと分かっていても。次女の方から距離を取られて、それはそれで面白くなくて鬱憤が溜まっていく主人公でしたが、しかしそのままで終わらない所がこれまた良い感じ。恋愛と友情と姉妹愛と、色んなものが絡み合って、一筋縄ではいかない人間模様。だからこそ、自分の思っている事をハッキリと口に出して伝える。それが始まりですね。ガッツリと青春してました。
最後、ここで終わるの!? と言う所で終わっているので、是非とも続編を希望します。まだまだ先が読みたい。